もしペットが死んでしまったら、先祖のお墓に入れてもいいのか

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※ 配信会社から提供された企業や団体等のプレスリリースを原文のまま掲載しており、【優良ペット葬儀社ガイド】が取材・執筆した記事ではありません。お問い合わせは、各情報配信元にお願いいたします。

家族同然のペットがもし死んでしまったら、人間と同じお墓に入れることはできるのか。もしできるとしたら、どんな制約があるのだろうか。経済ジャーナリストの高井尚之氏が、お寺の副住職と霊園の運営者にそれぞれ話を聞いた――。

■全世帯の約1割は犬や猫を飼っている  

昔から「どんな名優も子供と動物には勝てない」と言われる。  

犬や猫の、ふと見せる表情や意外な反応は、テレビや動画サイト、雑誌でも大人気だ。リモートワーク中の息抜きに、これらを楽しんだ人もいるだろう。

 ところで全国で、犬や猫はどれぐらい飼われているのか。  

・猫の飼育頭数=約977万8000頭

・犬の飼育頭数=約879万7000頭  

一般社団法人ペットフード協会(会員はペットフード事業者が中心)が2019年12月に発表した「2019年全国犬猫飼育実態調査」では上記の数字となっている。

 同調査によれば、直近5年間(2015~2018年)で猫の頭数は横ばい、犬の頭数は減少傾向にある。ただし「飼育世帯率」では、犬が12.55%、猫が9.69%と、犬のほうが多い。  

犬と猫をともに飼う家もあるので少なくとも「全体の約1割はペットを飼っている」といえそうだ。現在は、猫だけでなく、犬も大半が室内飼いだという。マンションやアパートなどの集合住宅では、ペット飼育禁止を掲げるところが大半なので、基本は一戸建て住宅での飼育となる。

■一緒のお墓に入ることは禁止されていない  

さて今回は、犬や猫を埋葬する「ペット霊園」について考えたい。  

愛犬や愛猫は家族の一員であり、例えば「メス」とは言わず、「ウチの女の子」や「次女」(長女は人間)と話す飼い主も多い。また、実家(の一戸建て)を離れて1人暮らしをすると、「ペットと離れ離れになるのがさみしい」と話す人もいる。

ここまで大切な存在でありながら、死んでしまうとどんな扱いになるか、あまり知られていないからだ。ここでは仏式葬儀を中心に説明したい。  

法律ではペットを一緒に埋葬すること(共葬)は禁止されてはいない。浄土宗久保山光明寺副住職の石田一裕氏(大正大学非常勤講師)はこう説明する。  

「まず、人間の葬儀や埋葬については、厚生労働省の『墓地、埋葬等に関する法律』(墓埋法)で定められています。最近は海中散骨などもありますが、通常は『墓地』に埋葬されるのが一般的です。  一方、ペットの遺骸は、人間の遺体とは違い、法律上は“一般廃棄物”と同じ扱いです。人間と同じお墓に入れるときは、故人の愛用したメガネを『副葬品』として骨壷に入れるように、副葬品の扱いで納骨することになります」  

「ペットの遺骨=廃棄物」については、専門家の間でも解釈に温度差がある。  「『廃棄物の処理及び清掃に関する法律』での取り扱いはその通り」という意見もあれば、「愛玩動物であるペットが死んだ場合の遺骨は、『飼い主については、動物の死体であっても一般廃棄物の対象としない』とした国会答弁もあった」という意見もある。

ここでは、「ペットと人間の遺骨は取り扱いが違う」「一緒に埋葬するのは条件をクリアすれば問題がない」と理解したい。

■公営霊園では共葬ができない?   

前述の中で「墓地」と「霊園」という言葉が出てきた。法律上(墓埋法)の「墓地」とは、お墓を設けるために行政の許可を受けている場所をいう。これに対して「霊園」は、自治体が運営する公営霊園、公益法人が管理する民営霊園があり、寺院内のお墓は寺院墓地と呼ばれることが多い。  

「公営霊園ではペットとの共葬ができない」とも聞いたが、本当なのか。  「墓地規則が、どうなっているかによります。公営霊園でも民営霊園でも、通常は墓地規則が定められています。その規則でペットの埋葬を禁止していれば、納骨はできません。墓埋法では、墓地へのペットの納骨を禁止していませんが、その土地の伝統や、住民の宗教感情に考慮した規則が制定されているのが一般的です」(石田氏)

最近はあまり使わないが、「畜生(ちくしょう)」という言葉もある。

もともと仏教用語で「けだもの」のこと。かつては「悪事を働くと、畜生道に堕ちる」の言葉が、よく知られていた。  

こうした宗教感情や古くからの慣習もあり、墓地規則が定められている。ペットの埋葬は一切禁止という霊園もあれば、エリアを区切って埋葬できる霊園もある。まだ少数だが、人間とペットが「共葬」できる霊園も徐々に増えてきた。

■共葬できることを「知らない」人は78%  

ペットの火葬や納骨の申し込みも、近年は増加している。  「ペットブーム」といわれるかなり前から、こうした事業を手がける業者もいる。

メモリアルアートの大野屋だ。少し数字面から現状を紹介しよう。  

2003年に「町田いずみ浄苑フォレストパーク」(東京都町田市)で提供を始め、「Withペット(ウィズペット)」という商品名(登録商標)で事業を展開する。これまでに首都圏や関西圏で10の霊園や寺院で取り扱い、完売したところもある。総区画1881のうち、1339を販売したという。  

「ウィズペットは、お寺などの宗教法人が管理主体で、ここ数年、相談件数は年間200件台となっています。一方、今年1月に当社が行ったインターネット調査で、『ペットも一緒に埋葬できるお墓があるのを知っているか』と聞いたところ、『知っている=22%、知らない=78%』でした。まだまだ認知度が低いのが実情です」(大野屋の広報担当)  

同じ調査で、ペットの死を経験した人に「遺骨の埋葬をどのようにしたか」も聞いた(回答数1496)。  その結果は、「自宅の庭など私有地に埋葬した」(37%)、「ペット用の霊園や納骨堂に埋葬した」(30%)、「遺骨を自宅に保管して、まだ埋葬していない」(14%)などの順だった。なお、「その他(自分や家族の霊園に一緒に埋葬したも含む)」(17%)、「海などに散骨した」(2%)もあった。  

もともとペット愛が強い人たちだからか。7割の人が、きちんと対応していた。  なお、大野屋以外にもペット霊園を手がける業者は多い。興味がある人はネットなどで、評判を含めて調べていただきたい。

■葬儀もオンライン化が始まっている  

新型コロナウイルス感染拡大防止で、外出や移動が大きく制限された。徐々に自粛は緩和されているが、まだまだ予断を許さない。  

そうした状況の中で、オンラインでのペット葬儀も注目されている。通常のペット葬儀や火葬は、どうしても「3密」(密閉・密室・密集)になるからだ。  

オンラインペット葬儀は、お別れの儀式をスタッフが行い、飼い主や関係者は画面越しに見守り、スタッフと対話する。火葬や拾骨なども同じ流れとなっている。  まだ始まったばかりのサービスで、「ペットとの共葬」という例は少ないが、今後はこうした「脱・3密」が増えていくかもしれない。

■ペット霊園を検討するなら注意したい点  

冒頭で紹介した、国内における愛犬・愛猫の飼育数は、15歳未満の子どもの数1533万人よりも多い(2020年4月1日現在、総務省推計)。  少子高齢化が進み、人間の墓を「墓じまい」するのも珍しくない一方で、今後、ペット霊園の需要は拡大するだろう。

そうなると、業者側も利用者側も注意したい点がある。  前述の石田氏はこう語る。  

「お墓はその家で使っていますが、たくさんのお墓が集まる霊園は『使用者の共有スペース』です。墓埋法では人間の遺骨は、基本的に霊園に埋葬するので、一般的に墓所は人が眠る場所です。

私個人としては、ペットを人と共に供養し、埋葬することに賛成ですが、墓所の使用者には動物が嫌いな人もいる。動物の遺骨が近くにあることで宗教感情を損ねることもあるでしょう。  日常生活の中でも、公共空間では犬にリードをつけるなど、ペットと人間が共生するためのルールがあるように、霊園を『さまざまな死者が眠る公共空間』と考えれば、ペットと共に眠るための一定のルールが必要だと思います」  

また、大野屋は墓の選び方について指摘する。  

「ウィズペットでは、一般的な区画と同じように、お墓のデザインもお客様のお好みに合わせてご提案させていただきます。愛犬や愛猫の写真や、足あとをかたどった彫刻を施すなど、家族同然だったペット達への愛情が込められたお墓が多いです」  

コロナ感染した著名人死去の報道もあり、死生観を考えた人もいるだろう。葬儀の形式が昔とは様変わりしたように、「ペットと一緒に永遠の眠り」を考える人も増えそうだ。もちろん、その際にはルールとマナーも考えたい。

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高井 尚之(たかい・なおゆき)

経済ジャーナリスト/経営コンサルタント 1962年名古屋市生まれ。日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。

「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆多数。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。

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